菅沼悠介 先生 (Yusuke SUGANUMA)
所属: 国立極地研究所 准教授
運営委員より:
地球化学が「地球」を冠している以上,我々は地球上から試料を採集・採取をしてくる必要があります。それは時には隕石であったり,貴重な鉱物であったりしますが,そこら辺の薄汚れた石ころや土砂,我々を取り巻く空気や果てしなく広がる海洋を漂う微粒子,氷河から溶け出た一滴の水…なんてこともあります。どのようなものが「宝物」であるかは,研究者各々の世界感によるところも大きいですが,時には危険すら伴う「宝物」を探す冒険の旅,それがフィールドワークです。
今回の講師,国立極地研究所の菅沼 悠介先生は,生粋のフィールドワーカーです。先生が何の変哲もない千葉県市原市の露頭を「チバニアンの地層」として変貌させたメンバーの1人であることは,皆さんご存知のところとは思います。チバニアンに関しては,第36回講談社科学出版賞を受賞された先生の著書『地磁気逆転と「チバニアン」』(ブルーバックス)をご覧ください。
同時に菅沼 先生は,南極氷床変動に関連した古気候・古環境研究をリードしておられます。近年,堆積物コアやアイスコア,樹木・サンゴ年輪などの古気候アーカイブを用いて,平均気温プラス2~4℃の地球環境を理解しようと,多くの研究者たちが尽力しています。特に,広大な氷床を有する「南極」は注目の的で,世界中のフィールドワーカーが「宝物」を探すために,雄大かつ過酷な環境に立ち向かっています。
今回は,菅沼 先生にそんな南極でのフィールドワークの様子も交えながら,南極氷床の変動史について「深掘り」していただきます。普段は研究室に籠りがちな分析や解析がメインの学生・若手研究者にも,フィールドワークの楽しみや試料の大切さを分かってもらえたらと思います。
運営委員 (安藤 )
*オンデマンド講演になります。質疑応答は,国立極地研究所 石輪 健樹さんが担当いたします。